山鹿灯籠(奉納灯籠)の作り手を、灯籠師と呼びます。
灯籠師になるためには、高等な技術の習得と熟練を要し、十数年の年月が必要と言われています。
 灯籠師は、4月に大宮神社の開始祭に出てお祓いを受けてから、8月の灯籠祭りの直前まで奉納灯籠作りに没頭します。灯籠師は、中には10基前後の奉納灯籠の製作を受け持つ人もありますが、短い睡眠時間の中でも丁寧に作品を作り続けます。
現在、灯籠師は、5人しかいませんが、その後継者を目指している数名が奉納灯籠の制作を手伝っています。八千代座を設計・監督した「木村亀太郎」も回船問屋の主人で灯籠師でした。
灯籠師 中島 清(なかしま きよし) 
父中島二人(県重要無形文化財保持者、
平成7年没)の後継者として、型紙の改良
や糊質の向上など、常に創意工夫を重ね、
より高度な課題へ挑戦を続けています。
  
灯籠師の道具と型紙の切抜作業
和紙の芸術 山鹿灯籠の特徴
山鹿灯籠は、室町時代より長い歴史の中で、金灯籠にはじまり神殿造り、座敷造り、合掌造り、古式台灯、矢壷、鳥篭など様々な様式のものが作られてきています。しかし、その作り方には、全てに共通する次のような鉄則があります。
@木や金具は一切使わず、和紙と少量の糊だけで作られます。
A柱や障子の桟にいたるまで中が空洞です。
B灯籠としての美しさを追求するために、建物などを一律に縮小したミニチュアとしてだけではなく、縦横のスケール等を独自に工夫して作られます。
 また、この他にも、美しい灯籠を作るために、次のような工夫もされています。
@曲面を接合する場合、すっきりとした線をだすため、糊代を取らず、和紙の切断面(小口)に直接糊をつけて接着します。
A屋根などを作る際、和紙を接合する必要がある場合には、両方の和紙の小口を1p程の幅にわたって斜に削り、重なりが目立たないようにしてつなぎます。
製作途中の金灯籠と神殿造り
山鹿灯籠製作工程(金灯籠)
@部品切込
(足切)
A部品切込
(手びれ切)
B部品切込
(欄間ポンチ打抜き
C部品組立
(蕨手置揚げ)
D全体組立
(灯袋造り)
E全体組立
(蕨手、足つけ)
F全体組立
(紋絞り
G全体組立
(擬宝珠造り)
金灯籠完成
山鹿灯籠と和紙
熊本の和紙の製造は、中世にはじまり、江戸時代に藩の殖産政策もあって発展し、明治から昭和にかけては全国でも上位の紙の産地となっていました。鹿本地方では、楮(こうぞ)の生産が盛んで。加藤清正に伴って来た朝鮮の技術者、道慶、慶春などによって和紙製造の技術が伝えられ、生産された和紙は、山鹿灯籠や江戸期から昭和初期にかけてつくられていた山鹿傘などの紙工芸の原料として用いられました。
山鹿灯籠用の和紙   その後、鹿本地方の和紙の生産は途絶え、現在、山鹿灯籠は、福岡県八女市から取り寄せた特注品の和紙を原料として使っています。
和紙つくりが復興され、山鹿灯籠に使用できるような高品質の和紙を地元で製造できる日が来ることが期待されています。